契約方式の自由にも制限がある。例えば、贈与契約は日本法では諾成契約であるが、諸外国では要式契約とされることが多く、ドイツ民法やフランス民法では公正証書が必要とされる。日本法でも、農地又は採草放牧地の賃貸借契約については書面によらねばならないとされている(農地法21条)など、一定の方式を要する契約が存在し、また、大量化・複雑化する商取引においては取引関係を明確化・迅速化するため商法上に例外が設けられている。要物契約は物の引渡しを要する契約で合意だけでは成立しない点で、契約方式の自由を制限するものとなるが、これらの契約が要物契約とされるのは沿革上の理由による。日本法では使用貸借・消費貸借・寄託が要物契約とされ、この3種類の契約はドイツ民法やフランス民法においても要物契約であるが、スイス民法では要物契約とされていない(スイス民法では現実贈与のみが要物契約とされている)